死が近づくと、
どのような経過を辿るのだろうか?
家族は どんな気持ちで過ごしたらいいの?
「人の死」が身近ではないからこそ、どのようなものか想像がつかないですよね。
わたしも実際そうでした。
今回は父との最期の1週間について、リアルな我が家の経過を綴ります。
▼父の終末期について、前回の内容はこちらから(↓)
この記事はこんな人におすすめ
- 家族の看取りについて、どのような症状を辿ったのか知りたい人
- 家族の死に接し、リアルな感情の動きに興味がある人
- 終末期を迎えるにあたって、医療以外の側面を知りたい人
この記事を読むと、ガン終末期の患者との最期、実際の1週間がどのようなものだったのかがわかります。
「家族の死」について、解像度が上がるはずです。
最後の入院
父との引継ぎから約10日後、
父が6度目の入院となった。
引継ぎの時は、とても調子が良さそうだったが
その後 体調をガクッと崩したらしい。
これが、最期の入院になるだろう。
母から入院の連絡をもらって、そう直感した。
事前のすり合わせ通り、
終末期の父は、緩和ケアの病棟に入院した。
緩和ケアでは、積極的な延命治療を望まず、痛みや苦痛を緩和する治療が中心となるよ。
母と電話していたら、
急に医師が電話口に代わった。
これからbad newsを伝えなくてはいけません。お母さんおひとりだと、つらいと思う。娘さん、来ていただけませんか?
この週は、正直なところ…今期で一番 多忙。
翌日から2泊3日の出張に、
出張明けは 終日、
お客様3組のご案内が入っていた。
いろんな仕事の予定が頭を駆け巡るが…
今から 行きます。
と返事して、急いで帰り支度をしたのでした。
余命の宣告と今後の経過
もって、あと1週間です
覚悟していたけれど、
いざ聞いてみると 胃にスーッと
冷たいものが降りてくる感覚だった。
母はさめざめと泣き出した。
父は、今後 次のような経過をたどると
説明を受けた。
意識の混乱とは、せん妄によって 会話が噛み合わなくなる症状。
そして もっと進行すると 会話ができなくなるとのこと。
意識の混乱・混濁は、
肝臓の悪化に伴う黄疸の影響や、
腎臓の動きが著しく悪くなり
水毒症 も発症したから。
1日で ドドドっと進行するのか、
数日かかって進行するのか
経過のたどり方は、人それぞれとのことだった。
わたしたちに、
どんなことができますか?
会える時に、会いに来てください。
そして 葬儀など死後の手続きを確認してください。
母と実家へ帰宅後、父の引継ぎ資料を頼りに、
葬儀会社に連絡した。
父の心音が弱くなってからの対応を、
家族・親族と擦り合わせた。
つまり、病院から看取りの連絡を受けた後の対応だよ。
電話で 叔母(母の妹)から、
明るく こんな言葉をかけてもらった。
みんな順番だよ!がんばりなさいよ〜!
周囲が神妙そうに接してくれる中、明るくエールを贈ってくれる人は初めてだった。
元気出た!
「何とかなる、みんなで何とかする」とメッセージをもらい、気を引き締めたのでした。
終末期の経過は、まさにこの本のとおり。
おかげで心構えができた。
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緊急時は 判断の連続
どうなるかわからないから。
これは 上司がかけてくれた言葉。
本当にその通りだった。
仕事を全部キャンセルしたほうが いいのではないか?
父の傍に ずっとついていることが、
果たして得策なのか?
こんな時に 動き回っていいのかと葛藤した。
いろんな考えを天秤にかけながら、
わたしがとった行動は…
・出張には行く
・夜 病院から連絡があった時の対応を決めておく
・日中 病院から連絡があった場合は、出張先から病院へ向かう。
→ そのために 上司に業務を引き継ぐ
今やれることを、粛々とやる ということ。
これを全ての行動と判断の指針にしたのね。
▼根底にはこれらの背景があったから。
・「自分のせいで娘の予定を空けさせたくない」という 父の意志
・傍にいても、実際には 何もできない自分
「日常」があることは、むしろ ありがたかった。
気持ちが分散されるからね。
そして 自分の考えや行動を尊重し、
サポートしてくれる人がいる。
夫や上司をはじめ 周囲のみなさんに
あらためて感謝したのでした。
持ち堪える父 と 家族の心情
入院2日目、出張前に面会すると、
父は 変わらず 会話できる状態だった。
この日3人で撮った写真が、
最後の家族写真となった。
じゃ、出張に行ってきます!
と病室を後にし、
2日後(入院4日目)
出張の帰りに立ち寄ると、、、
もう、会話が噛み合わなくなっていた。
◯◯ちゃんが新築するのか?
結婚するのか?
◯◯ちゃんは 最近引っ越したらしいけど、マンションだよ。
△△くんも生まれているし、
随分前に結婚しているよ。
…あぁ、そうだったな?
この時悟った。あぁ、これがせん妄か。
父の話に適当に話を合わせるけど、
内心 すごく心に堪えた。
認知症の人って
こんな感じなのかな?
会話が噛み合わないって、こんなにつらいんだなと 正直とてもショックだった。
症状は確実に進行している。
明日には意識がなくなるかもしれない。
と、医師から説明があった。
お父様はすごく頑張っている、
持ち堪えている。
普通じゃ考えられないです。
入院時の説明通りの進行なのだけど、
父の場合は、医師の想定よりも
ゆっくりだったのだと思う。
「その時」の対応を準備している分、
父が持ち堪えているというのに、
なんだか死を待っているような気がして
この時 申し訳ない気持ちになったのを、
よく覚えている。
現実は ドラマとは違う
一般的に、医療モノのドラマでは急変のシーン か、すぐ意識を失っているシーンが 多いのではないだろうか?
わたしは
そのイメージだった。
でも実際には そういうケースばかりではなく段階的に機能が衰えていくことのほうが、きっと多い。
そしてそのプロセスが辛いんだ。
だって、「慣れた」と思ったら
次のフェーズへ移行する。
1面クリアしたと思ったら、
2面は急に難しくなった、みたいな感じ。
このように段階的に症状が進行していくことを、頭に入れていただけたらと思う。
「恐い」は自然な感情
入院6日目、父の意識がなくなり
会話できなくなったと母から連絡があった。
お父さんのあんな姿は見たことがない…。
と 怖がっていた。
入院7日目、母と一緒に面会してみると、、、
「意識がない」は、わたしの想像とまったく違った。
母が怖がる理由がわかった。
もっと静かかと思いきや、
大イビキをかいて 寝ているかのようだった。
舌が沈下して
イビキのような音になっているのだそう。
いつも静かに寝るのに、
ガーガーと大きな音。
口を開けて寝ることがないのに、
がぽっと開いた口。
憔悴しているせいも あるだろうけど
まるで別人だった。
意識があることが、「その人」にしているんだね。
知っている「その人」感が薄れたら、それは怖くなるし、これからどうなるのか 不安も襲う。
経験者も同じ感情を抱いたと聞いて
「怖い」は自然なことなんだ、
「怖い」と感じる自分を恥じなくていいんだ、と救われました。
いつ お知らせがあっても おかしくない状態です。覚悟してください。
と、看護師さんに告げられた。
でも、意識はなくても、耳は聞こえているそう。
あらためて わたしは この3つを 父に伝えた。
- 父への感謝
- わたしはこれからどうなりたいのか
- 父の後悔=「母との旅行」はわたしが果たす
もちろん反応はなかったけれど、
きっと伝わったと信じてる。
わたしはこの日、2ヶ月前から 楽しみにしていた用事があり、病院を後にしたのでした。
間に合わなかった最期のとき
入院8日目 朝8時過ぎ、母から連絡があった。
心音が小さくなっているので、
すぐ来てください。
いよいよか、と思ったのと同時に
父はすべてを見越して、このタイミングを選んでくれたのだな、と涙が溢れた。
娘は今期一番 多忙な仕事を完遂し、楽しみにしていた用事にも出席できた。
この日だったらいいな、と
密かに思っていた日だったんです…
でもね、最期の瞬間には 間に合わなかった。
向かう途中、母から再度連絡があり、
父が 病院の電話から 30分で息を引き取った と知った。
お母さんも間に合わなかった…。
でも2人とも後悔していない、
お別れはちゃんとしていたから。
病室に駆けつけると、
父はとても安らかな表情をしていて、
希望どおり 穏やかに苦しまずに旅立てたとわかった。
それが何よりだった。
お父さん よかったね 。
あんなに苦しい・痛い思いをしてきたからね。
母と涙を流した。
最期の看取りに こだわらない
感謝とお別れの言葉は
本人がしっかりしているうちに伝えてほしい。
終末期は 意識が混濁していく。
毒素の値が高くなり、物事を考えられなくなり、うとうとする時間が増えていく。
そして、意識がなくなる。
最期の最期で大事なことを伝えて、
果たして届くのか?
きっと思うはずだ、
もっと前に伝えたかった。
リアクションが欲しかった。
って。
だから元気なうちから 伝えてほしい。
わだかまりがあるなら、
自分から折れて 素直になってみてほしい。
それが後悔しない過ごし方だとおもうのよ。
死に目に間に合わなくても、わたしは1ミリも後悔しなかったよ、本当に。
わたしの 選択 と 自分軸
わたしの過ごし方、
・リスクヘッジしつつも出張に行った
・自分の予定を諦めなかった
という選択は、決して正解ではない。
むしろ、正解はない!!!
・父が考えていること
・わたしの仕事の状況
・どう最期を迎えたいのか
いろんな角度から 何を優先したいのか?
その判断の連続。
そして 「すぐ」答えを出さなくてはいけない。
だから 正直 とっても疲れた。
「これでいいのか?」の連続に、
自分自身が 擦り減らないためにも
自分の判断に自信をもつことが大事。
それを どうやって身につけるのか?
自分軸を持つしかない。
判断力と 自分軸を育てるには
どうしたらいいのか?
わたしは 日々の片付けが繋がるとおもう。
もちろん仕事の内容的に 「決断」することは
人より多い生活かもしれないけれど…
日々の片付けで、
・わたしは これがすき
・わたしは こうしたい
・わたしは これが苦手
手元に残すモノ・手放すモノを、
毎日 毎日 判断している。
自分の判断に自信をもつためには、
小さな判断を繰り返して、
鍛えていくしかない。
その手段のひとつが、
わたしは片付けだと思っている。
片付けは「後悔しない選択」に繋がると 身を持って感じたよ。
医療の側面からは、
死についての教科書をぜひ読んでみて。
「人はどう死ぬのか」は、Audibleの聴き放題対象。(2024年6月時点)
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ひとりで抱え込まないで
家族の死に直面することがあれば、
ひとりで抱え込まないで、と伝えたい。
わかっていても
抱え込んじゃう人、多いと思うの。
わたしもそっちのタイプ
だって、まわりは 思っている以上に
あなたを助けてくれる。
「待っている」自分じゃなくて、
自分から SOSを出せる人になろう。
そして、そんな人が周囲にいたら、
ぜひその人の選択を尊重してあげてほしい。
いつか来る日のために、
自分の判断力を鍛えませんか?